パソコンの本

 昔は書店の工学書の棚に並んでおかれていたパソコン関係の本だが、数年以上前から、大抵の書店ではパソコン関連のコーナーを設けており、かなりのスペースを割くようになり、今や売り上げのかなりの部分を占めるようになっているという。
専門の月刊誌は、百種類もあるというし、マニュアル本と呼ばれる、特定のソフトウェアの使い方を懇切丁寧に書いた本も、ソフトの売れ行きに乗じて売り上げを伸ばしている。

 パソコン自体の価格は量産効果によって、かなり買いやすい価格になったとはいえ、個人的に趣味でちょっと使うには、まだ高い買い物だ。趣味でパソコンを持ち、周辺機器を次々と揃えたり、新型機種を追いかけることになると、支出は相当な額になってしまう。よく言われるが、パソコンを始めると金銭感覚が狂ってくるものらしい。本に関しても同じ事が言える。他の出版物に比べると、パソコン関係の本は明らかに高めの価格設定になっている。

 さて、パソコンというもの、宣伝文句のように、買ったその日から何でもスイスイこなせるという性質のものではない。早い話がスイッチの入れ方、切り方から正しく操作せねばならない。期待と結果のあまりの違いに落胆するケースもある。相談できる相手が身近にいない場合は悲惨である。あれこれ、自分の落ち度を反省し、マニュアルに目を通すのだが、何の解決にもならず不安と焦燥に駆られる。何のことはない、パソコンを買ったその日から、パソコンとの格闘が始まるのである。

 相談相手がいない場合には、とりあえず書店に飛んで行くことになるだろう。中年の男性が○○入門とか××決定版とか言った本を数冊まとめて買って行く姿をみることは珍しくない。かくして、うずたかく積み上げられた本の山に囲まれながら、パソコンと悪戦苦闘している中年男性の姿は想像に難くない。

 この種のパソコンの本、困った時には大変重宝するのだが、ご用がすめば全くの紙屑。過去の知識が余り役立たないパソコン界では仕方のないことかも知れないが、確実に迫ってきているという電子出版時代を前に、ペーパーレスのかけ声の影で、確実に大量の紙屑を増やし続けているのかも知れない。


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