吉野川連

 今年も阿波踊りに参加した。京都からの客を向かえて、案内がてらに初日は「にわか連」で小手調べ、二日目は「吉野川連」で本格的に踊った。踊れない年は見る阿呆にしかなれないわけだが、これはあまり面白くない。何とかどこかの連に加えて貰うのだが、仮住まいはやはり居心地が悪い。今年は吉野川の好きな人なら誰でも参加できるという「吉野川連」が結成され、私も仲間に入れて貰った。

 徳島の誇れるものは、阿波踊り以外にもいろいろあるが、全国の河川環境が悪化しつつある現在、吉野川は間違いなく全国に誇れる素晴らしい川だ。県外から訪れた客は一様に吉野川の雄大さ、美しさをたたえてくれるが、我々徳島に生まれ、徳島に住んでいる者は、毎日のようにあの長い橋を通勤していながら、その素晴らしさに気付かないでいる。今夏の香川県の水不足は深刻であったが、吉野川に恵まれた徳島県には日常の生活に困るようなことはなかった。

 こんな吉野川をめぐって、今県民すべてが考えなければならない問題が持ち上がっている。巨大河口堰の建設計画がそれだ。吉野川を愛する県民の意志とは無関係に、事が運ばれて、もし取り返しのつかないことになったら、徳島県民は全国に誇ることの出来る美しい吉野川を失ってしまう事になるかもしれない。反対に吉野川の美しさを守ることが出来たなら、吉野川と共に、それを守った県民の良識も大いに賞賛される事になるだろう。

 十三日に開催された吉野川フォーラムは大きな反響を呼び、地元の我々に大きな力を与えてくれた。また、吉野川を愛する人たちでつくった「吉野川連」、折からの雨にもまけず、ひたすら踊りながら確かな手応えを感じた。来年、再来年と吉野川を愛する人たちの輪が広がって行くことに期待している。


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