オークション

 今、インターネットを利用したオークション(競り市)がにぎわいを見せている。オークションと言えば、高価な絵画や古美術品を想像するが、ここに出品されている品物は、生活不要品から骨董的価値のある芸術品まで千差万別。参加する人の数は数十万という規模に達する。いわゆる「売ります、買います」の掲示板や、フリーマーケットの延長線上にあるのだが、規模に於いても、内容に於いても、そう言った過去の試みとは一線を画すシステムとなっている。

 一年ほど前、大阪南港近くの中古車のオークションに連れていってもらった事がある。会場では左右の二つの巨大なスクリーンに次々写し出される車の写真を見ながら、手元のボタンを押して価格を競り上げて行く、上がらなくなった時点での最高額の人が落札する。この間約5秒、つまり5秒に1台の割合で次々車が売りさばかれて行くわけだが、タイミングを誤ると獲物を逃してしまう。登録された業者なればこその慣れた手つきで、次々競売されてゆく様は、見ていて面白かった。

 さて、こちらはインターネットオークション、胴元もいないし、寺銭もいらない。誰でも自由に出品や入札が出来る仕組みとなっている。競売にかけられる物は、不要になった子供服や、電化製品、聞き飽きたCD、読み終えた単行本、「こんなものが...」と首を傾げたくなるような物まで出品されている。永年眠っていて、やがては燃えないゴミになるはずの物が、思いがけない値段で買われていったりする事もあれば、欲しかった物を安価に手に入れることが出来るのもオークションならではの醍醐味だ。お宝鑑定番組の人気も上々の近頃、物置に眠る自称お宝を出品して楽しんでいる人もいる。

 過去に例の無かった誰でも参加できるオークションのシステム、参加している人たちは、皆初めての体験をゲーム感覚で楽しんでいるようでさえある。オークションの面白さを知って、すっかりハマってしまったという話も良く耳にする。今後、まだまだ広がりを見せるであろう、このインターネットオークション、不要品のリサイクルとしては大変意義あることのように思うし、物を売ること、買うことの楽しさ、古い物の再発見、と思わぬ所に新しい価値が生まれそうな気がするのだ。

戻る

powered by Quick Homepage Maker 4.81
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM