ドレミとイロハ

 「ド~はドーナッツのド~、レ~はレモンのレ~」映画サウンドオブミュージックでジュリーアンドリュース扮する家庭教師のマリアが子どもたちに音楽を教えるのに、歌った「ドレミの歌」はその映画と共に、いまもなお歌われ続けている。

 ドレミは本来イタリア語であり、日本では、相対的な音の高さで音階の中の位置を表すのに用いられ階名と称されている。学校教育の中では、この階名による唱法はかなり重要な教材として昔から行われている。これに対して音の絶対的な高さは音名であらわされ、日本語の「はにほへといろは」とが用いられている。タイトルの「ドレミとイロハ」は実は適切ではない。イタリア語の「ドレミ」に対応するのは「ハニホ」なので、正しくは「ドレミとハニホ」とすべき所なのだが、どうもしっくりこないのでここはご勘弁願いたい。

 近頃では、伊呂波歌(いろはうた)を最後まで知っている子供は少ないし。アイウエオ順に物事を並べたりすることはあっても、イロハ順というのはあまりない。ところが事音楽に関しては頑固なまでにイロハなのである。「トホトホハニホ~」(出た出た月が~)と歌っていた時代ならなじみもあったのだろうが、現在ではこのイロハ式音名が、分かりにくい音楽の約束事をさらに複雑にしてしまっているように思う。

 専門的になるが、調性を表す嬰へ短調とか、変ホ長調という言葉も、習慣的に使っているので違和感はないが、教育の中で考えるならやはり、もっと理解しやすい方法に改めるべきだと思う。専門的に音楽を学ぶ人がドイツ語で音名を呼ぶのはその方が理解しやすいからだろうし、最近はコードネームなどの普及によって、英語による音名は若者の間では既に定着しているように思う。

 「ドレミファソラシド」「ドシラソファミレド」殆どの人は目をつぶってもこれが言えるだろうが、「ハニホへトイロハ」「ハロイトヘホニハ」となると、すらすら言える人は少ないのではあるまいか。イロハになじみのない世代にとって嬰へ短調とか、変ホ長調の単語は、頭の中で一度翻訳しないとピンとこない。ドレミとイロハの関係や音楽の理論を理解しようとする人はほんの少数にすぎないだろうが、もっと分かり易い音名が学校教育の段階で使われたなら、音楽(学校の)に苦手意識を持つ人も少しは減るだろう。


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