可動堰化推進署名

 吉野川第十堰の可動堰化計画推進の署名活動が始まっている。「第十堰・署名の会」(会長・坂本好県商工会議所連合会会頭)は9月21日から二ヶ月間にわたって署名活動を行い、年内にも建設省に地元の強い要望を示し、早期着工を願うという。だが、推進の署名集めにどれほどの意味があるのか、私には理解しかねる所が多々ある。

 すでに第十堰住民投票の会が住民投票の必要性を訴えて10万を越える署名を得、徳島市議会に於いて住民投票条例が可決されている。つまり、徳島市では期日が未定とは言え、第十堰可動堰化の是非を問う住民投票の実施が約束されている。この事実をもってするならば、少なくとも徳島市に於いては、推進の署名を集めるよりも、早期に住民投票を実施し、そのなかで可動堰化賛成の票を獲得することに専念すべきでなかろうか。住民投票の実施期日が12月末を過ぎてから討論されることも合わせて考えると、年内に建設省に請願を出すという推進側の目論見が、住民投票への危機感から生まれたであろう事は想像に難くない。

 いつも思うのだが、推進側市民には、可動堰でなければならない正当な根拠はあるのだろうか、反対運動に対する、単なる口封じでは何とも情けないではないか。そこには長いものには巻かれろ、お上の言うことに口を挟むなという自己保身的な体質が見えてならない。推進署名運動の役員名を見る限りでは、第十堰そのものよりも、巨大公共工事に伴う、経済的波及効果や、中央直結の利益誘導型政治に興味のありそうな、財界の方々が中心になっているのも気になるところだ。

 以前にも良く似た話があった。ちょうど10年前の1990年徳島市に海洋パーク建設計画が持ち上がっていた時だ。建設に反対する市民グループに業を煮やした推進派の議員が推進署名集めに躍起になったあげくに、署名集めに伴う現金授受の事実が発覚し、墓穴を掘った事件は、市民の心にまだ生々しく残っている。もちろん第十堰可動堰化に関する問題は、規模に置いても、内容に置いても大きく異なっているが、反対派市民運動グループと、推進派を形成する反市民運動派(?)の署名集めの戦いという点では酷似している。
海洋パークの二の舞とならないよう、と言ったらお節介だろうか。



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